国土交通省は4日、橋の耐用年数を予防的修繕で100年まで延ばす長寿命化促進事業を平成19年度から始める方針を明らかにした。高度経済成長期に急ピッチで建設された全国の橋が今後急速に老朽化するが、巨額の財政赤字を抱える国は、安易な架け替え費用の負担はできない。このため、管理を行う地方自治体に安全対策のこまめな修繕を促すことで橋の耐用年数の大幅な引き延ばしを図る。 国交省によると、コンクリートでつくられた橋の寿命は塩害や大型車の通行状況によって差はあるが、平均で約60年。全国には現在、約14万本(地方自治体管理は12万9000本)の橋がある。このうち、建設から50年以上経過する橋は18年度で全体の6%だが、昭和40年代以降の高度経済成長期に急ピッチで建設された橋の老朽化が進めば、38年度には47%に達し、その多くで架け替えが必要になる見通しだ。 国や地方自治体は、これによって大きな財政負担を強いられる。また、橋の通行止めによる渋滞などで住民生活に影響が出たり、迂回(うかい)措置が必要になるため、経済的損失が膨らむ可能性もある。
そこで、国交省は、悪くなってから行う対症療法的な修繕から、こまめな修繕による「悪くなる前に直す」予防的修繕への転換を促すことにした。従来の修繕工事はひび割れなどが見つかってから行うため、内部の鉄筋の腐食が進むなどして手遅れ状態となり、「その後に大規模修繕や短期間での架け替えが必要となるケースもあった」(国交省)という。 長寿命化を図り、耐用年数を平均約100年まで引き延ばす。これによって、対応の遅れによる短期間での架け替えや大規模修繕を抑制し、財政負担の増大を防ぐ方針だ。 具体策としては、地方自治体が橋の健全度点検を実施する際に技術支援を行う。また、点検をもとに分析した長寿命化に最適な点検サイクルや手法などを盛り込んだ修繕計画を作らせ、その費用の半分を補助する制度を19年度に創設する。 補助を受けるには、修繕計画の策定に土木の専門家らが参加し、その計画の内容を一般に公表することを条件にする。大阪市などでは独自に同様の取り組みを始めている。 この費用補助が受けられる期間は、都道府県と政令市が管理する国道、主要地方道は5年間。市町村道は7年間。ただ、「制度の浸透を図り、地方自治体側の意識転換を促す」(同省)ため、期限が切れた24年度以降(市町村道は26年度以降)は、修繕計画に沿った修繕や架け替え費用のみを補助の対象にし、従来の対症療法的な修繕や適切な管理がなされなかった場合の架け替え補助は今後、打ち切る方針だ。
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